マイクロスリープは、他人事ではありません。もし仮に、あなたが父親、母親、もしくは子であっても、旦那であっても妻であっても皆が関係者だと思っています。それは、免許証を持っていれば誰もが大切な人を乗せて、運転する機会があるからです。知らなかったじゃ済まされない、というか、きっと知らなかったことに後悔するはず。
Twitterでもコメントしましたが、つい先日に長野へリ墜落事故で搭乗者9名全員が死亡した事故の西日本新聞の報道が単なる「居眠り」とあまりにも簡易的過ぎてショックだったので、詳しいことを補足したいと思い記事を書いています。
このような痛ましい事故は起きて欲しくないという思いと、私達が実際に利用する鉄道、バス、タクシーと言った身近な交通手段でも起こり得る話でそういったリスクがあるんだと知って貰えたら、何か対策も出来るかもしれませんし、運転手や操縦者にとっても注意喚起というか、飲酒運転のように予防するのが当たり前になってくれればと祈るばかりです。
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マイクロスリープとは
マイクロスリープ(英: Microsleep)とは、短ければ数分の一秒、長くても30秒程度睡眠状態に陥ることを指す。
Wikipediaより抜粋
ようは、瞬間的な寝落ちです。
いま昼寝の特集をしていますが、昼寝や夜間の就寝時に利用できれば、全く便利なのですがこのマイクロスリープの、怖い所は自発的でなく完全な受動的な瞬間的な寝落ちです。しかも、何の前触れもなく寝落ちしている訳ですから、自分では何が起きたか全く認識できません。
マイクロスリープの原因
マイクロスリープの原因の多くは、慢性的な睡眠不足を始めとした、重度の睡眠障害の場合が多いことが挙げられます。
具体的には、
- 睡眠不足
- 精神的疲労
- 抑鬱
- 睡眠時無呼吸症候群
- 低酸素症
- ナルコレプシー
- 過眠症
といったものが多いと言われています。
単なる居眠りとは違い、自分ではどうしようもできないことが怖いところです。注意しないといけないのは、慢性的な睡眠不足が原因の場合に、予兆なく突然マイクロスリープに陥ることがあるということです。(前日の睡眠不足でたまたま陥ることもあるようです)
これは、今回のヘリ墜落事故と同じように操縦や運転中など、不断の注意を必要とする状況ではとても危険だということになります。
マイクロスリープは症状の特定が難しい
首を何度もこっくりと揺らす、まぶたが閉じてくるといった行動基準から判定できるという専門家もいれば、脳波の変化が目印になるという専門家もいて、マイクロスリープ症状が発現したかどうかをどうやって判定できるかについては未だに合意が見られていません。
ようは、事前にマイクロスリープに陥っている可能性があるかどうか、自覚症状がないばかりか医師など専門家によって症状の判断が、未だにかなりのブレがあるという現実が浮かび上がってきます。
マイクロスリープと睡眠の違い
実は人が眠るまでには行動が決まっています。
- 眠気を感じる
- 睡眠のための準備をする(横になる、目を瞑る、等)
- 眠りに入る
マイクロスリープでは1と2、特に2の準備をすることなく3の眠りに入ってしまいます。
この違いが、先ほど触れた前触れもなく寝落ちするということに繋がってしまい、自分では何が起きたか全くわからなくなってしまいます。
マイクロスリープは使いこなせるのか
厳密に言えば、答えはNOです。
マイクロスリープの特徴は無意識に寝落ちしてしまうことから、場所や時間を自分自身で選ぶことが出来ません。もし仮に、電車の中などの移動中やオフィスで昼寝や仮眠で活用できたと思ってもそれは単なる寝落ちで、それこそたまたま偶然で狙って出来ることではありません。
そもそも、マイクロスリープの原因の1つに睡眠不足がありますから瞬間的に寝落ちが出来ることもあるでしょう。そうやって、マイクロスリープの疑いがある場合は根本的な原因の解決をするのがベストな治療方法だと言われています。
今回の長野ヘリ墜落事件について
運輸安全委員会の報告書によると、機長は甲状腺の病気で投薬治療中だったにもかかわらず、乗務に必要な航空身体検査証明の申請書で申告していなかった。
機長が投薬治療中なのに報告しなかったことを指摘されたことに対し、県消防課は「今後はチェックを徹底し、操縦士の健康診断結果を把握するなどして再発を防止する」と話した。
私は、県消防課に物申したい。
チェックを徹底するのも良いでしょう、しかし操縦士にマイクロスリープの危険性を周知すると共に操縦士が陥る可能性がある症状、しかも致命的なリスクを再度洗い出し周知を徹底して欲しい。
これは人の命を預かるであろう人たち全員にお届けしたい。(決して、他人事ではないということ)
企業のマイクロスリープ対策について
日本航空は健康管理について社内規定を設定しており、出勤時に自身や乗員同士で疲労や眠気について確認しています。
乗務中に眠気に襲われた場合は機長と副機長が連携しながら、体を動かしたり、飲食したりするようにしているようです。2017年10月からは、各航空会社で疲労のリスク管理のための新たなプログラムも導入したようで、詳細は「SMSによる疲労ハザードの管理」、「疲労教育の実施」、「疲労した状態で勤務してはならない規定の追加」が新規設定されます。
東京メトロは毎年度初めに運転士が眠気防止対策カードを作成し、監督者に提出しています。
例えば、
- 眠くなる前に屈伸する
- 背伸びをする
などの対策を書き込んでいます。
また乗務前の点呼で、心身状態の異常が見られれば乗務を認めないようにしています。
まとめ
今回のマイクロスリープを原因とした事件は決して、他人事ではありません。
もし仮に、あなたが父親、母親、もしくは子であっても、旦那であっても妻であっても皆が関係者だと思っています。それは、免許証を持っていれば誰もが大切な人を乗せて、運転する機会があるからです。知らなかったじゃ済まされない、というか、きっと知らなかったことに後悔するはず。
自分にも何か兆候があったら、是非自分なりの対策で構いません。「あれっ?」と思い当たる節があれば、思い出して欲しいと考えて、マイクロスリープのお話を紹介しました。
あとがき【閲覧注意】
仮に時速60キロで運転していて、このマイクロスリープが4秒起きると、居眠り状態のまま70メートル近く車が進む、ということ。
これは大げさな話でも何でもありません。本当に睡眠不足での運転は危険なのです。あまり実感が持てない人だけこの動画をご覧ください。
注意;衝撃的な映像なので苦手な人はこの動画は見ないでください。
私はこの動画を見た後、他人事ではないくらい動悸が起きて、しばらく何も手につきませんでした。
この動画を見てしまうと、記事の内容が頭に入ってこなくなりそうで、けれども、やっぱりそれだけ怖いこともあるんだと、知って欲しかったので最後に持ってきました。
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