腰痛は寝方によて睡眠の質を変えます。寝方は横向き、タオルを腰に巻く、痛い方を下にしないなど、睡眠時の腰痛の原因や対策となる寝方を徹底解明します …
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第5回 仰向けで寝るなら知らないと損!
第8回 仰臥位の全て【徹底解説】
第10回 横向き枕で失敗しない3つの選び方
第11回 横向きで寝るメリットとデメリットまとめ【徹底解説】
第15回 うつ伏せ枕で失敗しない選び方
第16回 うつぶせ寝は赤ちゃんと大人で違う?【正しいうつ伏せ寝】
腰痛は寝方で決まると言っても過言ではありません。
寝方は一般的に仰向け、横向き、うつ伏せと3種類あります。腰痛に最も優しい寝方はどれなのかその真相に迫りたいと思います。
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腰痛とは
腰痛(backache,low back pain)は腰痛症とも呼ばれ、男性では1番目、女性でも肩こりに次いで2番目に訴えの多い症状で、その数は厚生労働省の国民生活基礎調査でも増加傾向です。腰痛症の原因はさまざまですが、腰痛のうち原因が特定できるものはわずか15%程度といわれています。
代表的なものは、腰椎が直接障害される圧迫骨折や、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄などがありますが、その他、細菌感染やがん、臓器や血管などの病気が原因となり、腰痛を引き起こすこともあります。
一方で、残りの約85%は、レントゲンなどの検査をしても原因が特定できないといわれています。このような腰痛では、生活習慣、ストレスや不安、不眠など心の状態が影響していることもあります。
また、見た目にはわからない神経の障害によって痛みが生じていることもあります。
腰痛が寝方で決まる理由
1日の1/3を布団の中で過ごすと言っても過言ではありません。
腰痛によって眠れない、寝方が悪くて腰痛が悪化してしまうと言った声も決して少なくありません。腰痛が寝方で決まってしまう理由は、腰への負担だけでなく寝返りの質に寝方が影響するからです。
寝返りと腰痛には深い関わりがあり、寝方が悪く寝返りが減ると腰への負担(血行不良や筋肉の緊張)が増えてしまいます。実は、腰痛の回復を早めるために寝方を工夫することが最も効果的で即効性のある方法だったのです。
寝方で腰痛を悪化させるメカニズム
寝方が寝返りの回数に直結するだけでなく、睡眠の質にさえ繋がっているというメカニズムを紹介します。
睡眠は浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)を繰り返し一定のリズムで休息しています。実はこのリズムを生み出しているのは寝返りだったのです。一般的に寝返りは、レム睡眠とノンレム睡眠を切り替えるスイッチだと言われています。この寝返りの回数やリズムが狂ってしまう理由は様々あります(後ほど記述)がその中でも寝方は寝返りに直接的な影響を与えています。
うつ伏せの寝方は呼吸の問題、首への負担、顎や歯並びなどに悪影響を与えるため腰痛と関わらず基本的な寝る姿勢として外します。
仰向けの寝方では、マットレスの硬さが判断の分かれ目です。マットレスが硬い場合には背中との間に隙間が出来やすく、浮いている部分(腰やその周辺の骨や筋肉)への体圧負荷が増え腰痛を悪化させてしまいます。対策としては体圧分散性の高い敷物(トッパーやベッドパッド)を準備して隙間を作らないようにしましょう。
一方で、マットレスが沈みすぎる場合には寝る姿勢(寝方)そのものが悪くなってしまい腰痛を悪化させます。対策もマットレスの交換、買い替えしかありません。
腰痛に優しい寝方は横向き
腰痛に優しい寝方が横向きの寝方です。
しかし、横向きの寝方で注意する必要があるのは枕の高さです。理想的な横向きの寝方は、頚椎が真っ直ぐの状態で首への負荷を減らすのが前提で、横向きの寝方をより安定させ寝返りの打ちやすさに繋がります。
横向きの寝方では、仰向けの寝方よりも体重を支える面積が狭くなるため、体への負荷はより大きくなりがちです。マットレスの硬さが合っていない場合は特に、肩・腰にかかる負担は大きくなってしまいますので注意が必要です。
よくある質問で、横向きの寝方は、右向き?左向き?どっちが良いのか迷ってしまうという声を耳にします。自分の慣れている向きで構リラックスして眠ることが1番ですが、心臓は左にあるため、左向きの寝方では心臓への圧迫が強くなりがち。寝ていたら、いつの間にか右を向いて寝ていたりする一説となっています。
腰痛にはタオルを腰に巻く寝方も
仰向けの寝方が自分にとって慣れている場合には、やはり仰向けの寝方で眠りたいものです。
その場合に、腰痛を悪化させる可能性があるのは「マットレスとの隙間」が原因で体圧分散性の高い敷物(トッパーやベッドパッド)でも隙間が埋まらない、すぐに準備出来ないなどあればタオルで代用しましょう。
バスタオルなどを使い違和感のない程度で腰に巻き付け(ガムテープなどで固定)、隙間を埋めます。背骨と布団を平行に保ちやすく、硬い布団やマットレスでも腰への負担を減らすだけでなく、温め効果もあるため血行促進により腰痛も改善しやすくなります。
腰痛には痛い方を下にしない寝方も
腰痛を感じる場合には痛い方を下ではなく上にして、横向きで眠る寝方もあります。
Google検索では「腰痛 寝方 痛い方を下」と検索予測が出てきますが、これは間違いです。痛い方を下にしてしまうと痛みを感じるだけでなく腰痛を悪化させる場合だってあります。抱き枕や膝下にクッションを入れるなどして、出来るだけ体圧を分散させ腰に負担がかからない寝方を意識しましょう。
腰痛には病気の可能性
腰痛には寝方に関わらず病気の可能性もあります。
- 椎間板ヘルニア
- 筋・筋膜性腰痛
- 椎間板症
- すべり症
- 腰椎分離症
- 脊柱管狭窄症
腰痛だからといって腰だけに原因があるわけではないのです。 「腰が痛い」というのは、あくまで結果であり、 原因はほかのところにある場合も少なくありません。 腰が痛いのは腰が悪いのではなく、 ほかの部分が悪いから腰が痛くなった、 という可能性にも目を向けることで腰痛の本当の原因が見つかるかもしれません。
腰痛を悪化させる寝方以外の可能性
寝方以外にも腰痛を悪化させる可能性が潜んでいます。
腰痛の本質にあるものは寝方もそうですが寝返りでした。寝返りがしづらくなる原因は基本的に避けましょう。ここでは代表的な可能性をいくつか紹介します。
まず、パジャマの生地でモコモコパジャマやフリース、スウェットなどは摩擦係数が高くパジャマ生地として合っていません。おすすめは、綿や麻(リネン)、シルクなどです。また、重ね着も寝方以前の問題で寝返りしづらくなるので、ほどほどにしましょう。
次に、枕の高さと硬さです。柔らかく頭が沈みやすい枕は睡眠中の寝方を柔軟に変えれないため寝返りに影響します。同じように、布団が重すぎるのは寝方を固定させ寝返りがしづらくなるためNGです。腰痛を感じている人は出来るだけ軽い布団を心がけましょう。
そして最後にマットレスです。最近では体圧分散性能の高いマットレスを各社出しているので注意深くチェックしましょう。マットレスが硬すぎると体の一部が圧力による血行不良を起こしやすく腰痛の悪化に繋がります。体に合った適正なマットレスは、正しい寝方(寝返り)をサポートしてくれます。
腰痛は寝方だけでは治せない
慢性的な腰痛は、筋肉の炎症による痛みと神経の痛み(神経障害性疼痛)、また、心理・社会的要因などが複雑に合わさった状態です。
腰痛によって身体を動かさないでいると、それが精神的ストレスとなります。精神的ストレスが続くと、痛みを抑制する脳のシステムが機能しなくなって神経が過敏になり、さらに腰痛を感じるようになり、ますます身体を動かさなくなってしまいます。これが腰痛の悪循環です。また、痛みのことばかり考えていたりすることも、ストレスとなり慢性化の原因となります。
このように腰痛が治りにくい原因はさまざまで、寝方だけで改善しない場合には医療機関に相談し、適切に対処することが必要です。
まとめ
腰痛に最も優しい寝方は横向きでした。
しかし、枕の高さを間違えてしまうなど一歩間違えると、横向きの寝方でも腰痛を悪化させることに。しかしながら、横向きか仰向けかどちらでも、自分が慣れている寝方が1番しっくり来ることには違いありません。それぞれの寝方で注意するポイントは説明しました。そのポイントを気をつけながら自分に合った寝方で腰痛の負担を減らしてみましょう。
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あとがき
今日から寝方シリーズの始まりです。
寝方には仰向け、横向き、少数ではありますがうつ伏せと大きく3種あります。性格やその時の心理状態によっても寝方が変わるって知ってました?
坐骨神経痛や妊婦に最適な寝方を特集していこうと思っていますのでお楽しみに〜