仰向けが腰痛を悪化させる場合があります。腰痛いけど仰向けで寝たい。そんな場合には、仰向けで腰痛が悪化するポイントさえ抑えれば腰への負担を少なく仰向けで痛みを和らげ眠ることも …
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第5回 仰向けで寝るなら知らないと損!
第8回 仰臥位の全て【徹底解説】
第10回 横向き枕で失敗しない3つの選び方
第11回 横向きで寝るメリットとデメリットまとめ【徹底解説】
第15回 うつ伏せ枕で失敗しない選び方
第16回 うつぶせ寝は赤ちゃんと大人で違う?【正しいうつ伏せ寝】
仰向けで安静にしていると楽、逆に仰向けで安静にしていても痛い、など腰痛は人によって感じ方は違ってきます。
寝方の中で最もメジャーなのが仰向けです。腰痛だからと言って、横向きで寝るのは眠りづらい、どうせ睡眠途中で慣れている仰向けになってしまう、などありがちです。
仰向けで腰痛を感じる人、いつも仰向けで寝ている人は、寝ている内に仰向けになっても良いようにしっかり対策をして睡眠を取りましょう。
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仰向けとは
仰向けとは顔面を天に向け、上肢は体幹側で自然に伸展させ、下肢は左右に少し開いて自然に伸展させるか、膝の下に枕などを敷き少し屈曲させるのが一般的な仰向けの寝方です。
他の寝方に比べて、重心が低いため安定し、全身の筋肉は緊張が少ないため、生体エネルギーを節約でき最もリラックスできる寝方だと言われています。休息時、就寝時にとる自然な寝方が仰向けと言えるでしょう。
一方で、仰向けは頭部・体幹・四肢の各部が心臓とほぼ同じ高さになるため、全身の体循環、殊に腹部内臓の血流量が上昇しやすく他の寝方よりも心臓の負担は上がるようです。
仰向けのことを解剖学や人間工学では、仰臥位(ぎょうがい)や背臥位(はいがい)とも呼んでいます。
腰痛とは
腰痛(backache,low back pain)は腰痛症とも呼ばれ、男性では1番目、女性でも肩こりに次いで2番目に訴えの多い症状で、その数は厚生労働省の国民生活基礎調査でも増加傾向です。
腰痛の原因はさまざまで、腰痛のうち原因が特定できるもの全体のたった15%程度といわれています。残りの約85%は、レントゲンなどの検査をしても原因が特定できないといわれていて、原因不明の腰痛は生活環境(習慣)、ストレスや不安などの心の状態、不眠などに代表される睡眠障害が影響しているとも言われています。
腰痛で日常生活が制限されてしまうと体力が低下し、腰を支える筋力も衰え、また精神的にも落ち込むために、さらに腰痛がおきやすくなります。悪循環を断ち切るためには、中腰にならないなど日常的姿勢に注意し、また腰の支持性を高めるための運動や体操を毎日の習慣にするのも手かもしれません。
仰向けで腰痛になるメカニズム
仰向けで腰痛が悪化する場合で最も多いケースがマットレスの硬さです。
マットレスが硬い場合には体との隙間が多くなりがちです。そのため、仰向けで寝ていても体圧を分散できず腰への負担が大きくなり腰痛を発症、または悪化させてしまいます。マットレスが硬い場合に注意すること(対策)は腰周りが浮かないよう隙間をタオルや体圧分散性の高い敷物(トッパーやベッドパッド)でサポートするようにしましょう。
一方で、マットレスが柔らか過ぎて沈み込むような場合には寝る姿勢(寝方)そのものが悪いため腰痛を発症、または悪化させやすくなります。マットレスが自分の体に合っていない、マットレス自体(スポンジやバネなど素材そのもの)が劣化していることが考えられるので、早急に買い替えを検討する必要があります。
仰向けで腰痛になる原因(ポイント)
仰向けで腰痛になる原因は大きく分けて3つです。
先ほど説明したマットレスの問題、病気による腰痛、疲労による腰痛、この3つが代表的な腰痛の原因です。仰向けの寝方は、実は思ったよりも腰を伸ばしている状態です。日常生活では痛みがなくても、仰向けで寝た後で腰痛に気づくことも少なくありません。
仰向けで気をつけたい病気による腰痛
- 椎間板ヘルニア
- 筋・筋膜性腰痛
- 椎間板症
- すべり症
- 腰椎分離症
- 脊柱管狭窄症
腰痛には腰に直接的な原因がない場合もあります。
腰が痛いと感じるのは、あくまで症状であり原因が腰以外であることも少なくありません。ちょっとおかしいな、腰痛が改善しないなど気になることがあれば、病気によっても腰痛の対策・治療は違ってきますので、お近くの整形外科へ受診することをおすすめします。
仰向けで気をつけたい疲労による腰痛
長時間の同じ姿勢や骨盤の歪みなど疲労を原因とする腰痛には腰回りの血行を良くし、循環させる必要があります。腰痛が強くないときや筋肉疲労の原因が思い当たるときは、他に症状がなければ様子を見るのも手。
仰向けにこだわらず膝を曲げて横向きの寝方で、腰の負担を軽くし、2~3日安静に保つと痛みは徐々に軽くなります。その後は無理をしない範囲で日常生活に戻していきましょう。2週間で8割の人達は症状が改善するという声もあります。
仰向けで腰痛いと感じたら
仰向けで腰痛いと感じる場合、それでも仰向けで寝たいという人もいるはずです。
そのためには腰痛の予防というか腰回りの筋肉を柔らかくしておくことが大切です。腰痛のストレッチにはいろいろな種類があるため、自分が気持ちがいいと感じる体操を日常生活から無理なく取り入れるのがおすすめ。腰痛ストレッチは気軽に誰でも行えますが、激しい痛みのある人は行わないでください。
今から紹介するすべてのストレッチを行う必要はありません。5回を目安に、無理のない範囲で行うのが続けられるポイントです。仰向けで腰痛いと思う前に普段から腰痛予防を心がけることが大切です。一般的な腰痛ストレッチは、腰回り(お腹・背中と腰・お尻)と3種ほどあります。
- お腹のストレッチ
うつ伏せになり、手のひらを床に向けて、両腕を頭のほうに伸ばす。腕が90度くらいになるまで両肘を曲げながら、ゆっくりと上半身を起こす。
- 背中・腰のストレッチ
あおむけになり、両膝を曲げて両手で抱える。両膝を胸に引き寄せながら、背中を丸めるようにして上半身をゆっくりと起こす。
- 腰・お尻のストレッチ
あおむけになり、両膝をたてる。頭や背中は床につけたまま、両膝を両手で抱え込む。
他にも整体師などプロによる腰痛ストレッチのYouTube動画を貼り付けていますので興味があれば最後までどぞ。
腰痛を和らげ仰向けで寝る方法(対策)
腰痛には仰向けではなく横向きの寝方が最も腰に負担がかからないのですが、寝方はやはりいつもの習慣通りに寝たい、それでも仰向けが良いという声も少なくありません。そういった場合に考えられる仰向けで寝る方法(対策)を考えてみました。
仰向けで寝る対策その1;タオル
腰痛を和らげ、今すぐ仰向けで寝たい場合にはこれしかあリません。
バスタオルなどを使い違和感のない程度で腰に巻き付け(ガムテープなどで固定)、隙間を埋めます。背骨と布団を平行に保ちやすく、硬い布団やマットレスでも腰への負担を減らすだけでなく、温め効果もあるため血行促進により腰痛も改善しやすくなります。
あくまで簡易的な方法で、タオルの巻きすぎなど仰向けの寝方で腰が反ってしまわないように注意しましょう。新しいマットレスを調達するまでの応急処置として常用するのは避けたほうが無難です。
仰向けで寝る対策その2;ベッドパッド
ベッドパッドは主に羊毛、ポリエステル、キャメルなどのわたをキルティング加工したマットレスの上に敷くパッドです。
主にマットレスの劣化防止と汚れ防止、質の良いものになると寝心地の上げることも出来ます。仰向けで寝る場合には、ベッドパッドはトッパーよりも安い場合が多いので季節や寝心地の趣向など自分の好きなように腰痛対策しやすい(バリュエーションが多い)のが特徴です。
仰向けで寝る対策その3;トッパー
トッパーとは、高級ホテルでは必ずと言って良いほど敷いてあります。
シーツの下にあるので気づかない人も多いかもしれませんが、一般的にマットレストッパーとも呼ばれ、あまり耳にした事ない人も多いかもしれませんが、マットレスの上に敷く薄いマットレスです。トッパーは、マットレスの寝心地をワンランク上げてくれます。
体圧分散など機能性の高いマットレスを買おうとする場合、値段は決して安くはありません。しかも寝具は家族分必要になるため予算も限られてしまいます。そこそこのマットレスで十二分な寝心地が手に入るので、コスパは言うまでもありません。厚みによって値段と寝心地は比例しますが、腰痛を気にせず仰向けで寝たいならば、必須でしょう。
まとめ
仰向けでいつも寝ている人にとっては腰痛だろうが何だろうが仰向けで寝たいんです。
それに、無理して最初に横向きで眠っても、すぐに仰向けになってしまいます。仰向けの習慣がある人が、きちんと対策をしないまま眠ってしまうと腰痛を悪化させてしまう可能性があります。
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あとがき
寝具はすぐに買い揃える、買い直すというのが簡単ではありません。
大きさ的にも値段的にも躊躇するでしょう。ポイントだけ押さえて、自分にとって必要な対策だけやってしまえば、仰向けの寝方だろうがお手軽に腰痛対策できますよっ