寝起きに腹痛を感じ、その痛みが止まらない場合は注意が必要です。命の危険というのは決して言い過ぎではないでしょう。腹痛は痛みの強弱ではなくその原因が大切で、寝起きに体性質の腹痛を感じたら要注意 …
寝起きシリーズの目次は下記リンクよりどぞ ↓
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第5回 寝起き が 悪い 人は必見!パッチリ目覚めるたった3つの習慣
第7回 寝起きにめまい!放っておくと危険な理由と原因・治し方
第14回 寝起きの腹痛は放っておくと危険!今すぐ原因をチェック!
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総集編 寝起き大百科【永久保存版まとめ】
夜中に腹痛で目が覚めてしまった、朝、寝起きに腹痛を感じて治らない、大人だけでなく、子どもの腹痛でも同じことが言えるのですが、腹痛を甘く見ると痛い目に合うかもしれません。
今日は寝起きに感じる、腹痛のメカニズムを紹介します。
目次はこちら
腹痛とは
腹部に感じる痛みとして自覚される症状で、体内で発生した何らかの異常を知らせる情報が、まず痛みとして自覚します。
またこれらの痛みは、異常に対する一種の防御反応とも言えます。腹痛の随伴症状として、悪心、嘔吐、下痢、便秘、発熱、吐下血、血尿、体重減少、黄疸、 ショック症状、生理異常などがあります。
寝起きに起きる腹痛の原因
寝起きに感じる腹痛の原因は大きく分けると
- 内臓痛
- 体性痛
- 関連痛
に分けることができます。
一般的に、緊急手術が必要になる腹痛は「体性痛」で、痛みの程度や強弱よりもその原因が大切になります。夜中や寝起きに突然腹痛に見舞われた時,体性痛だと注意が必要です。今から詳しく解説します。
内臓痛
胃や腸などの内臓が痙攣したり、収縮したりした際に感じる痛みで,上腹部や臍周囲、下腹部といった漠然とした範囲での痛みとして感じる場合が多く、嘔吐・下痢などの症状も見受けられます。
腸管の収縮により痛みは周期的に強くなり、腹部をおさえて転げ回ったりと動き回る場合が多く、お腹を押すと痛みを感じます。胃腸炎や食中毒の場合がこの内臓痛で、一般的には内科的治療で軽快し、緊急手術の適応になることはありません。
体性痛
腹膜に炎症が加わると、限局した部位(狭い範囲)に強い痛みが生じてきます。
症状が進んでくると、歩行時に響く痛みや打診で痛みが増強してきます。炎症がさらに進むと、腹壁が反射的に緊張して硬くなり、お腹を触られるのを避けてじっと丸まった姿勢で、うづくまるようになります。
虫垂炎が進行して、右下腹部の痛みが強くなってきた場合などは緊急手術を考慮しなければなりません。
関連痛
内臓からの痛みの刺激が皮膚へと伝わり、皮膚の痛みや知覚過敏として感じます。
痛みとなる原因があるところから離れた場所に感じる痛みです。
このような初期症状には注意
寝起きに感じる腹痛の程度には個人差があり、痛みの程度だけで原因疾患の重症度を判断することは困難ですが、以下の項目が当てはまる場合には重症である可能性が高く救急車を呼ぶなど、出来るだけ早めに受診しましょう。(当てはまる項目が増すほど重症である可能性が高くなります)
- 腹痛が出現して短時間で激痛となる
- 吐血・下血や黄疸、発熱などの随伴症状を認める3.
- 腹痛が出現してから便や放屁がでない
- 歩くと患部に響く
- 体重減少を認める
- 痛みのため睡眠から覚醒する
寝起きの腹痛に限りませんが、一般的な腹痛の診療は原因がなにであるかに関わらず、緊急的に外科的処置をしなければならない急性腹症を見逃さないように診察します。
自分で体性痛かなと思った場合には、迷わずに痛みが体性痛であることを正しく伝えることがポイントです。
寝起きに腹痛を感じたら考えられる病気
腹痛の原因となる病気には、腹部にあるすべての臓器が関係しているため、非常に幅が広いことが特徴です。
ここではその中でも比較的よくある病気や、注意が必要な病気のみを取り上げます。痛くなる場所によっても病気の種類は異なります。上腹部、下腹部に分けて腹痛と関係のある病気をみていきましょう。
上腹部が痛む事が多い病気
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 胆石症・胆管炎・胆のう炎
- 急性膵炎
下腹部が痛む事が多い病気
- 急性胃腸炎
- 急性虫垂炎(盲腸)・腹膜炎
- 憩室炎・腸閉塞・虚血性腸炎・過敏性腸症候群
- 大腸がん
泌尿器系の病気
- 尿管結石
- 腎盂腎炎
- 腎盂腎炎
婦人科の病気
- 卵巣炎
- 卵管炎
- 卵巣嚢腫茎捻転
- 子宮外妊娠
- 子宮筋腫
- 子宮頸がん
- 腟炎(萎縮性腟炎、細菌性腟炎)
- 生理痛
血管系の病気
- 腹部大動脈瘤破裂
- 腹部大動脈解離
- 上腸間膜動脈血栓症
腹痛なのか胃痛なのかわからない場合
みぞおちが痛くて胃の検査を受けたが異常はない、胃薬を飲んでもよくならない、病院を移して病が判明する、など胃カメラでたとえ異常が見つからなくても、腹部のエコー検査やCT検査を行うと、膵炎、胆のう炎、胆管炎といった病気だけでなく、膵臓がん、胆のうがん、胆管がん、肝臓がんなど命に関わる病気が判明するケースも少なくありません。
みぞおちの痛みは、多くの場合、本人は胃の痛みとして認識するでしょう。
しかし、そう思い込んでいると重大病を見逃すことにもなりかねません。医師でさえ、“みぞおちの痛み=胃が原因”と決めつけてしまう場合もあるので、薬など治療を受けても改善されない場合は注意が必要です。
セカンドオピニオンは勿論ですが、受診の際は、必ず胃カメラ検査と一緒に腹部エコー検査やCT検査を行ってもらうようにしましょう。
ストレスによる腹痛
ストレスによって寝起きに起きる腹痛は、過敏性腸症候群(IBS)と呼ばれ、明らかな器質的異常はありませんが、寝起きに便通異常(下痢、便秘)と腹痛、腹満感などの症状を慢性的に繰り返すものです。
大腸や小腸の運動や分泌が過剰になったもので、原因としては暴飲・暴食や刺激性の食事でおこることもありますが、大部分は心理社会的ストレスが強く関係しています。
日本人の有病率はごく軽度のものまで含めると、全人口の約20%と大変多いと考えられていますが、病院を受診する人はそのうちの20%と推定され未だに認知されていません。
女性に多い腹痛の原因まとめ
- 過敏性腸症候群(IBS)
- 炎症性腸疾患
- 大腸憩室炎
- 排卵
- 腸内ガス(オナラの元)
- 下半身の冷え
- 便秘
- 筋肉痛など
受診の際に症状の他に伝えた方が良いこと
寝起きの腹痛に限りませんが、腹痛で病院を受診する場合、以下の点は診断や治療を行う上で重要なポイントです。(分かる範囲で診察医に伝えるようにしましょう)
- 腹部手術の既往;これまでお腹の手術を受けたことがあるか
- 持病;定期的に治療を受けている疾患や健康診断で異常を言われたことがあるか
- 常用薬;サプリメントも含めて、常用している薬があるか
- 腹痛の誘因;飲酒、食事、薬など腹痛が出現したきっかけがあるか
- 食事内容;腹痛が出現した数日前までに生ものなどの摂取があるか
- 集団発生;家族や同僚などに同様の症状の者はいないか
寝起きに感じる腹痛の対策まとめ
寝起きの腹痛は原因によって、対策が異なる場合が多いので、どの腹痛にも共通する一般的な対策を紹介します。
- 胃に負担のかかるもの(アルコール、冷たいもの、香辛料、脂っこいものなど)を避ける
- 口にするなら冷たいものを避け、お腹を温める
- 喫煙の習慣がある場合には、たばこを控える
- 胃にやさしい食べ物・飲み物をとるように心がけ、よく噛んでゆっくり食べる
- 食物繊維が豊富な食事を心がけ、水分も適度にとりましょう
- 運動をすることで腸が刺激され、ストレス解消にもなります
- 自律神経を整えるため腹式呼吸でリラックスする
寝起きに腹痛を感じた時の応急処置
腹痛時の一般的応急処置として、バイタルサイン(意識、血圧、呼吸、脈拍)のチェックは欠かせません。
その他は以下の応急処置が効果的です。
- 衣服をゆるめ、静かに寝かせ、腹痛の状態を観察
- 嘔吐物のあるときは誤嚥をさせないよう注意すると同時に吐物は残しておき、医師に見せる
- 飲水は与えない
- 痛み止めはなるべく飲ませない
ただ、最も注意を要する事柄は急性腹症で、症状は主に以下の通りです。
- 冷汗、脂汗
- 七転八倒のごとき激痛
- 意識の低下
- 腹部の板状硬
- 反復する嘔吐、時に吐血、下血
急性腹症であれば躊躇することなく、ただちに設備の整った医療施設へ(救急車にて)搬送しましょう。
寝起きの腹痛時、絶対にしてはならないこと
- 飲水、食物を与えること
- 痛み止め、浣腸、下剤の投与、施行
- 腹部のマッサージ、腹部を温めたり、冷やしたりを医師の指示なしで行うこと
- 患児の安静を妨げること
まとめ
寝起きに感じる腹痛はそのまま放っておくと思っている以上に深刻なケースが多く、早い段階で適切な処置(判断)が求められます。
「腹痛で遅刻や休みを貰うのはちょっと、、、」と控えがちになるのもわかりますが、寝起きに腹痛を感じ、その痛みが治まらない場合は一切、遠慮することはありません。出来るだけ早めに受診することをおすすめします。
寝起きシリーズも残すはあと1つです(総集編除く) ↓
あとがき
職場や学校など遅刻や休日の言い訳で「腹痛で、、、」と聞いた時に、「腹痛なんか大丈夫でしょ」と思いがちですが、考えを改める必要があるかもしれません。
実際に受診して問題なければ良いのですが、万が一ということも考えられますから。自分が腹痛だと感じた時、周りで腹痛だと聞いた時、いつも以上に気配りをしてみませんかっ