過眠症の原因はストレスやうつなど様々な原因があります。そもそも、過眠症には原発性過眠症、特発性過眠症、反復性過眠症、月経関連過眠症などに分けられ、その症状によって原因も様々です。
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総集編 過眠症の全て【総集編まとめ】
過眠症と言っても、眠り姫のように寝続けるのが、症状だと一概に言うことは出来ません。
また、症状が違えば、その原因も異なる場合が多く、まずは自分に疑いのある過眠症の原因は、どんなものか把握しましょう。過眠症の疑いがあるかどうか、前回の記事ではチェックリストを紹介しました。今日は過眠症の原因に迫ってゆきます。
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過眠症とは
日中に過剰な眠気または実際に眠り込むことが毎日の様に繰り返してしまう状態で、少なくとも1ケ月間は持続するため、そのため社会生活または仕事が妨げられたり、過眠によって自分自身が苦痛だと感じるものです。
ただし1回の持続期間が1ヵ月より短くても、繰り返して過眠がみられるものも含みます。
過眠症は大きく4つ
原発性過眠症
過眠症の診断基準を満たすが情動脱力発作は認められないものです。
真性過眠症候群(essential hypersomnia syndrome)もほぼ同じ概念です。既知の睡眠障害、器質的原因によるものは除外され、ナルコレプシー2型と呼ばれたりしています。
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睡眠時無呼吸症の臨床的所見(夜間の呼吸停止、典型的な間欠的大いびきなど)が認められる場合には、睡眠時無呼吸症との合併である可能性もあります。治療としては夜間睡眠の異常があれば規則正しい睡眠習慣に戻し、日中残る過眠に対しては覚醒効果をもつ精神賦活(ふかつ)剤を朝と昼に投与します。
必要以上に大量を飲みすぎると、精神不安定になることがあるので必ず医師の指導を守る必要があります。
特発性過眠症
特発性過眠症の診断基準は以下の症状が最少限基準とされています。
- 長時間にわたる睡眠エピソード、過度の眠気、あるいは過度に深い睡眠の訴
- 夜間睡眠が長時間に及ぶこと、あるいは頻繁な日中の睡眠エピソードの存在
- 発症は徐々で、多くの場合25歳未満で発症する
- 訴えの持続が少なくとも6カ月以上
- 夜間睡眠時間は十分なのに昼間1時間以上の睡眠エピソードがしばしば見られる
- 一日の総睡眠時間が10時間以上
- 睡眠エピソード後の目覚めがすっきりしない
- 情動脱力発作がない
特発性過眠症は頻度が少なく、治療法も十分に研究されていません。
しばしば頭痛、起立性低血圧、レイノー現象、頻脈などの自律神経症状を伴います。通常の精神賦活(ふかつ)薬では効果がみられないことが多く、メタンフェタミンやモダフィニルが効果のある場合があります。
反復性過眠症(クライネ・レビン症候群)
一般的に周期性傾眠症(Periodic somnolence,Periodische Schlafsucht)と呼ばれていた疾患です。
多くは青年期に発症し、数日間から2週間ほど傾眠(けいみん)状態が続き、この間通常毎日15時間以上昼も夜も眠り続けます。
この間は周囲の人が強く刺激すると一応は目を覚ますのですが、表情はぼんやりとして簡単な応答はするものの口数が少なく、注意の集中と持続が困難で、周囲への関心が乏しく、記銘(きめい)力も低下してしまいます。不機嫌で強い眠気を訴え、放置するとすぐに眠り込んでしまいます。自覚的にはぼんやりして周囲に対する現実感が薄れます。
脳波ではびまん性の遅いα波やθ波がしばしば連続して見られます。この病気の本態としては軽い意識障害が考えられていますが昏睡ほど深いものではなく、食事や排便は自ら行い、失禁することもありません。
病相期が始まると治療は困難なことが多く、むしろ病相を予防するための薬物療法が工夫されています。
月経関連過眠症
月経周期は、「卵胞期」と「黄体期」の2つに分けられます。
月経から排卵までが卵胞期、排卵から月経までが黄体期です。卵胞期に比べて黄体期の最低体温と最高体温の差は小さくなります。私たちは体温が下がると眠くなり、体温が上がるときに目が覚めます。黄体期には1日の内での体温の変化が小さくなるので、睡眠と覚醒のメリハリも小さくなって、日中に眠気が強くなると考えられています。
典型的な月経関連過眠症では、月経の約1週間前から日中の眠気が強くなり、月経の開始とともに眠気が軽くなるパターンをとります。下腹部痛や頭痛、イライラ、憂うつな気分など、月経前症候群のほかの症状が強い人ほど、日中の眠気も強くなる傾向があります。
上で述べた過眠のパターンをとり、強い眠気が2日以上続き、このような状態が年に1回以上あると、月経関連過眠症と診断されます。治療法は、睡眠の質を高める生活習慣、専門家によるカウンセリング、経口避妊薬を併用することが効果的とされています。
一般的な過眠症の原因
一般的に過眠症の原因は、はっきりと解明されていない場合が多いのですが、有力な原因は遺伝によって引き起こされているというもの。
また、多くの過眠症は二次性(ある疾患に関連して発生する病気や症状のことある疾患に関連して発生する病気や症状のこと)による原因でその病気や症状を治療することで過眠症も改善傾向となります。
一般的な原因は下記の6つ。
- 原因1,うつ病、不安障害、双極性障害に処方された向精神薬の副作用や離脱
- 原因2,薬物やアルコールの乱用
- 原因3,脳障害、非定型うつ病、尿毒症、線維筋痛症
- 原因4,肥満伝染性単核球症
- 原因5,子供のインフルエンザ
- 原因6,ナルコレプシー、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害などのの睡眠障害
過眠症チェックフロー(原因の調べ方)
原因のわかるQ&A型チェックフローです。
Yesならその質問に該当する睡眠障害の可能性があります。Noなら次の質問に進んでください。それでは一緒に原因を見つけましょう。
- 薬物(非処方薬を含む)を使用している
Yes: 薬物を使用していない状況下で再チェックをする。
- 気分が落ち込んでいる。気だるい。何もしたくない
Yes:原因はうつ病、季節性感情障害の可能性が高い。
気分が落ち込みやすく、やる気も起きない。また、不安感・焦燥感に駆られます。うつ病(精神疾患)と不眠はとても密接な関係があります。うつ病が原因で不眠になり、不眠が原因でうつ病になります。負の悪循環が続いてしまいます。特定の季節にのみ症状が出る場合、季節性感情障害の可能性があります。
- 夜間の睡眠が不足している。十分眠れれば日中に眠気はない
Yes:原因は長時間睡眠者、睡眠不足症候群の可能性が高い。
自分が思っている以上に自分に必要な睡眠時間は長いのかもしれません。10時間以上の睡眠をとらないと不調を感じる長時間睡眠者(ロングスリーパー)が、人口の3~9%程度存在していると言われています。自分に合った睡眠時間を見直しましょう。
- いびき、不規則な呼吸、高血圧、肥満などの症状がある
Yes:原因は睡眠時無呼吸症候群、睡眠関連呼吸障害の可能性が高い。
呼吸が止まる程いびきがひどい場合、睡眠中に酸欠状態になるため疲れがとれず、日中の倦怠感、強い眠気につながります。生活に支障をきたすことになるので、一刻も早い治療が大切です。
- 喜怒哀楽の感情が高ぶると脱力が起こる、日中急に眠りに落ちる、金縛りになる、入眠時に幻覚が見える
Yes:原因はナルコレプシーの可能性が高い。
夜間にきちんと眠っても日中にとても強い眠気を催します。状況に問わず起きていることが困難で眠りに落ちることがあります。睡魔により生活に悪影響を及ぼすだけでなく、運転などの作業中に眠気に襲われることで生命に危険性を及ぼすこともあります。
- 入眠時や睡眠中に体が無意識にビクついたり、ムズムズする
Yes:原因は周期性四肢運動障害、むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の可能性が高い。
脚のむずむず感で眠れなくなったり、体のビクつきにより睡眠が妨害されることで睡眠の質が大きく低下します。不眠の症状がさらに悪化して、日中の眠気、倦怠感、やる気の低下など生活に支障をきたします。
- 眠気を催す時期と生理周期に関連がある
Yes:原因は月経随伴睡眠障害の可能性が高い。
月経が始まる1週間ほど前から強い眠気を感じます。月経前に分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用により、睡眠中の体温が高くなるなどし睡眠の質が低下します。
- 周期的に過眠が起こる
Yes:原因は反復性過眠症の可能性が高い。
1日に16~18時間も眠る状態が数日~数週間続いたり、全く何も症状がないという時期があったり、と周期的に過眠症が起こるのが特徴です。症状が起こる時期の初め頃に眠気がとても強くなります。10代に発症することが多いのも特徴です。
- 眠い時期と眠くない時期が2〜4週間で入れ替わる。就寝時刻が日に日に遅れていく
Yes:原因は概日リズム睡眠障害の可能性が高い。
入眠時刻が毎日1時間程遅れていくため、眠る時間が遅くなって日中に眠気を催したり、夜間に眠れないことで日中の眠気が生じることになります。対策をとらずにいると、一般的な生活リズムに合わせることが困難になるほどになってしまいます。
No:原因は特発性過眠症の可能性が高い。
日中のひどい眠気が長期間(3ヶ月以上)持続し、ナルコレプシーなどの症状に該当しない場合、特発性過眠症と考えられます。夜間ぐっすりと眠れているにも関わらず、日中に眠くなり長い間(3,4時間)眠りに落ちてしまいます。どれにも該当しないという人は、生活習慣が過眠症の原因の可能性が高いと考えられます。
過眠症の診断
実際に過眠症の診断には、睡眠ポリグラフィー検査(PSG)など、専門医のもと日中の眠気や覚醒度などの原因も検査することが必要です。
過眠症の診断テストの詳細など詳しくはこちらの記事で説明しています。↓
まとめ
自分に過眠症の疑いがある場合、自分だけで治療するのはかなりハードルが高く、途中で挫折しやすくなるだけでなく、間違った方法で治療を試みる場合もあります。
その場合には、一向に改善がないため完治の見通しが持てなくなり治療自体を諦めたりしがちです。過眠症は正しい予防と対策、そして専門家のサポートが必要でしょう。
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あとがき
過眠症だと思っていたのに、調べてみるとそれ以外の睡眠障害だった、というケースも少なくないようです。
どんな時も、まず現在地のセットをする(原因を探す)ことが、目的地へ向かうナビの最初の手順だったりします。過眠症(他の睡眠障害も)は、セカンドオピニオンとして、複数の専門医に相談することも、必要になる分野だと思います。
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