過眠症とうつ(鬱)病に切っても切り離せないしがらみがあります。うつ病と不眠症などの睡眠障害との接点は、よくニュースでも耳にしますが過眠とうつには深い関係が…
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総集編 過眠症の全て【総集編まとめ】
過眠症とうつ(鬱)には意外な繋がり、があることとを知っていますか。
不眠症とうつには、寝つきが悪く、夜中に何度も目が覚め、朝方から眠れなくなるなど寝た気がしない、というような深い関係があると以前にも使えました。↓
うつを治せば過眠症は治るのでしょうか、それとも過眠症を治せばうつが治るのでしょうか、一体どちらから手をつければ良いのか。
今日はその辺りにフォーカスを絞って、お届けしたいと思っています。
目次はこちら
うつ(鬱)病とは
日本では、100人に3~7人という割合でこれまでにうつ病を経験した人がいるという調査結果があります。
さらに、厚生労働省が3年ごとに行っている患者調査では、うつ病を含む気分障害の患者さんが近年急速に増えていることが指摘されています。
- うつ病が増えている背景には、
- うつ病についての認識が広がって受診する機会が増えている
- 社会・経済的など環境の影響で抑うつ状態になる人が増えている
- うつ病の診断基準の解釈が広がっている
など、様々な理由が考えられます。
- 「憂うつである」
- 「気分が落ち込んでいる」
などと表現される症状を抑うつ気分といいます。
抑うつ状態とは抑うつ気分が強い状態です。うつ状態という用語のほうが日常生活でよく用いられますが、精神医学では抑うつ状態という用語を用いることが多く、このようなうつ状態がある程度以上に重症である場合、一般的にうつ病と呼んでいます。
うつ(鬱)病の種類
うつ病の分類方法の代表的なものを示します。
原因からみて外因性あるいは身体因性、内因性、心因性あるいは性格環境因性と分ける場合があります。身体因性うつ病とは、アルツハイマー型認知症のような脳の病気、甲状腺機能低下症のような体の病気、副腎皮質ステロイドなどの薬剤がうつ状態の原因となっている場合をいいます。
内因性うつ病というのは典型的なうつ病であり、普通は抗うつ薬がよく効きますし、治療しなくても一定期間内によくなるといわれます。ただ、本人の苦しみや自殺の危険などを考えると、早く治療したほうがよいことは言うまでもありません。躁状態がある場合は、双極性障害と呼びます。
心因性うつ病とは、性格や環境がうつ状態に強く関係している場合です。抑うつ神経症(神経症性抑うつ)と呼ばれることもあり、環境の影響が強い場合は反応性うつ病という言葉もあります。このような原因を重視したうつ病分類とは異なる視点からの分類が最近よく用いられています。
たとえば、アメリカ精神医学会が出しているDSM-Ⅳという診断基準には「気分障害」という項目があり、それをうつ病性障害と双極性障害に分けています。さらにうつ病性障害の中に、一定の症状の特徴や重症度をもつ大うつ病性障害と、あまり重症でないが長期間持続する気分変調性障害があります。
上記二つの分類法は異なる立場からの分類であり、それぞれに長所と短所があります。時に「内因性うつ病=大うつ病性障害」「抑うつ神経症=気分変調性障害」のように誤解している方がいますが、適切に使い分けることが大切です。
過眠傾向があるのは躁うつ病(双極性障害)
過眠は一般的に、うつ病に比べて気分障害である躁うつ病(双極性障害)で起こりやすいといわれています。
2010年に発表された論文では、母数の少ないデータになってはしまいますが、単極性うつ病では18%の患者に過眠傾向があったのに対して、躁うつ病は40%もの患者に過眠傾向が見られました。眠りすぎるだけでなく、日中にも眠気を感じてしまいます。
非定型うつ病は過食や過眠も
急増する非定型うつは6~7割が女性患者です。
非定型うつ病の特徴に、過眠(10時間以上眠る日が週に3日以上)があります。よく眠れるというよりも、眠り過ぎに苦しめられます。非定型うつ病の場合、他者から非難されたと思い込むと気分が落ち込み、併せて眠気が強まります。また神経性疲労で、体が鉛のように重く感じてしまうので、起きていられず寝てしまいます。
過眠は冬季うつ病(季節性感情障害)の特徴
- 朝の寝起きが悪く昼になっても起きることが出来ない
- 何もしたくない
- 一日中眠り続けていたい
この過眠傾向は、冬季うつ病の特徴です。
季節の移り変わりが人間の気分に影響を及ぼすということは、何千年も前から知られていました。にもかかわらず、「季節性感情障害(Seasonal Affective Disorder; SAD)」という言葉が初めて登場したのは1980年代になってからのことです。
冬季うつ病の特徴は周期性にあって毎年、日照時間が短くなる10月から11月にかけて症状があらわれはじめ、日差しが長くなる3月頃になると回復するというサイクルを繰り返します。その症状からウインターブルーという別名さえあります。冬季うつ病は、症状が重いと日常生活に支障をきたすこともある深刻な病気です。
うつ(鬱)病に多い睡眠傾向
一般的に人は眠る時に浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)を繰り返して睡眠します。
うつ病の場合、自律神経が崩れている場合が多いため、もちろん体内時計(概日リズム)も不規則になります。そうすると、うつ病でない人に比べ深い眠りが出来なくなってしまいます。浅い眠りが増えるので、途中で起きるなどの不眠を始めとした睡眠障害を発症しやすくなります。
当然ながら、睡眠の質が低くなってしまうのと、寝起きに体温が思うように上がらないので、まだ眠りたいという睡眠惰性を感じやすくなり、過眠傾向となってしまいます。
過眠症とうつ(鬱)病、どっちから治療するの?
過剰な睡眠(過眠)はうつ病を誘発する作用があり、睡眠を短縮するとうつ状態を誘発してしまいます。
どちらかを先に治そうとすれば、どちらかの症状に引っ張られてしまい、治療は簡単ではありません。どちらかというと判断に難しいのですが、発想を逆転させると同時に対処できる方法があれば、まとめて一気に治療して解決することができるとも言えます。
過眠症の治療
過眠症は大きく分けて4種類に分けることができ、その中でも発症原因のわからないもの、治療が難しいものなど、一概に眠り続けるだけが過眠症ではありません。
そのため、理想を言えば睡眠専門の診療・治療環境のある睡眠クリニックをおすすめしたいのですが、残念ながら日本全国でまだ院数が限られています。
詳しくはこちらの記事で説明していますので興味あればどぞ。↓
うつの治療
気分障害に対する治療法については、系統的な治療指針がないため、意見が分かれています。
一般的には、ノルアドレナリン・ドーパミン再取り込み阻害作用を持つ抗うつ薬であるブプロピオンが、うつ病における過眠に対してSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)より有効だということ。過眠症治療薬であるモダフィニルで日中の過眠、精神刺激薬であるメチルフェニデートを併用することで無気力や疲労感などが改善されるというケースもあります。
冬季うつ病には、朝の光を浴びると改善する傾向があり、高照度光療法が抑うつ気分とともに日中の眠気を改善することが知られています。
薬を使って治療したくない
抗うつ薬が本当に効いているのはうつ病の5人に1人で、残りの8割の人には、薬は無意味という意見もあります。
抗うつ薬の販売額が10年足らずの間に5倍以上に急増しましたが、うつ病で治療を受ける人も約100万人と、それまでの2.5倍に増えたことに全く因果関係がないとは言い切れません。心理療法、催眠療法、休養、生活環境(習慣)の見直し、運動など、薬を使わない治療方法は他にも考えられるので情報収集をし検討するに値します。
まとめ
実際には過眠症とうつ病を切り離して考えることはできません。
しかし、現実的にそれぞれと向き合う場合には、どちらか一方から着手する必要があります。果たして、本当にそうでしょうか?ここからは私個人の考えですが、過眠症にもうつ病にも共通となっている原因があります。それは睡眠リズムの乱れです。
概日リズムという体内時計を、ピアノみたいに調律師が定期的にメンテナンスしてくれれば良いのですが、調律師の変わりになるような家族や専門家・専門医と一緒に、定期メンテナンスできれば効果的だと思います。
あとがき
話は変わりますが、ピアノの調律師がテーマの、『羊と鋼の森』という小説を読んだことありますか?
私は個人的に大好きで、映画化されてくれないかな、と思ってら2018年6月に実写化されてるので、知っている人もいるかもしれませんが。(私は映画を見逃していますが)ピアノものは大好きで、『ピアノの森』は感動しましたね。それだけでなく、なんか元気を貰えるアニメでしたよ。
興味あれば読んでみて(観て)ください、おすすめです!