寝つきが悪いのは放っておいても改善しません。小手先のテクニックに加え原因に合わせた対処法を紹介しています。睡眠薬は安易に使わず、どうせなら飲むならサプリや漢方をおすすめ …
寝つきが悪い人がいま増えています。
寝つきが悪い、なかなか眠れない、このような入眠トラブルを不眠症(入眠障害)とも呼んでいます。寝つきが悪い原因やそのメカニズムはそう難しいことではありません。整理して知っておくことで、寝つきが悪い状況を改善できるだけでなく、睡眠の質をワンランク上げてくれます。
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寝つきが悪い人の特徴
寝つきが悪い人は特徴があります。
- ストレス耐性が低い
- 不規則な生活環境
- 布団の中でのスマホいじり
- 入眠前のメールチェック
- 寝る直前の長風呂や激しい運動
- 入眠前の喫煙やアルコール、カフェイン摂取
これは、あくまで代表的な特徴を紹介しているので必ずしも当てはまる訳ではありません。
しかし、このような生活習慣を持っていると寝つきが悪い状態を支えているということは忘れてはいけません。
寝つきが悪い時の原因
寝つきが悪い時の原因は人によって違います。
そのボーダーラインは、急性か慢性なのかが判断のポイントです。たまたま、もしくは最近になって寝つきが悪いとすれば最近の変化に目を向けることで寝つきが悪い原因を掴むことが出来ます。
寝つきが悪い原因の多くは、自律神経の乱れ、体内時計のズレ、病気の3つです。慢性的に寝つきが悪い場合は上記に加え、体質(ショートスリーパーなど)、加齢が原因になっていることもあります。
寝つきが悪い時には小手先のテクニック(体の中心部分の深部体温をシャワーでなく湯船に浸かって上げる、寝る前の入眠儀式といったルーティンの活用など)に加え、原因に合わせた対処法が必要になります。
寝つきが悪いかどうか8つのセルフチェック
世界保健機構(WHO)が提唱しているアテネ不眠尺度(Athens Insomnia Scale:AIS)を紹介します。
これは、ICD‒10(アメリカ精神医学会の診断基準)に基づいて作られた言わば世界基準です。寝つきが悪い時の深刻度を測ることが出来ます。
- Q1,寝つきの時間は?
- 違和感なし(0点)
- 少し時間がかかった(1点)
- かなり時間がかかった(2点)
- 非常に時間がかかった、または眠れなかった(3点)
- Q2,夜間に目覚めましたか?
- 覚めなかった(0点)
- 数回は覚めたような気がする(1点)
- 何度も覚めた(2点)
- 数えきれないくらい覚めた、または眠れなかった(3点)
- Q3,予定通り目が覚めましたか?
- 覚めなかった(0点)
- 少し早かった(1点)
- かなり早かった(2点)
- 早すぎた、または眠れなかった(3点)
- Q4,いまの睡眠時間に不満は?
- 十分(0点)
- 少し足りない(1点)
- 足りない(2点)
- 全く足りない、または眠れなかった(3点)
- Q5,睡眠の質は?(睡眠時間とは別)
- 満足(0点)
- 少し不満あり(1点)
- 不満あり(2点)
- 非常に不満、または眠れなかった(3点)
- Q6,日中の気分は?
- いつも通り(0点)
- 少し滅入った(1点)
- 滅入った(2点)
- 非常に滅入った(3点)
- Q7,日中の身体の調子は?
- いつも通り(0点)
- 少し不調を感じる(1点)
- 不調(2点)
- 非常に不調(3点)
- Q8,日中の眠気は?
- なし(0点)
- 許容範囲内(1点)
- かなりある(2点)
- 非常にあった(3点)
判定方法はこちらです。
3点以内;問題なし
4〜5点;放っておくと危険
6点以上;病気の可能性あり(早急に医師への相談)
寝つきが悪いのはストレスとの関係も
寝つきが悪い時に最も厄介なのがストレスです。
ストレスは、自律神経を崩すきっかけとなり睡眠(特に寝つき)に影響してしまいます。ストレスとは、外部からの様々なストレッサーと言われる、心理的、感情的、環境的、物理的な物による負荷や刺激により引き起こされます。
寝つきが悪い場合、自律神経は交感神経のスイッチがオンになっています。ようは、リラックスできない状態となってしまうため、脳神経は興奮し眠気がなくなってしまいます。
寝付きが悪いときの対処法
寝つきが悪いときの対処法を紹介します。
対象法は、原因に合わせて行うのが最も効果的です。寝つきが悪い原因は3つでした。ストレスによる自律神経の乱れ、不規則な生活による体内時計のズレ、病気の3つです。
ストレスマネジメント
まずはストレスの質を区別しておきましょう。
ストレスには、正当なストレスと理不尽なストレスの2種あります。この区別をするだけで、まずストレスに対する受け止め方(放っておいていいかどうか)が変わります。
ストレスマネジメントの具体的な方法は、呼吸法(腹式呼吸)、ストレス発散(趣味や運動)、ストレスの可視化と認知(紙に書き出す)の3つです。詳細は省きますが、何をすれば良いのかという方向性だけ提示しておきます。
体内時計の調整
体内時計のズレを言い換えると時差ボケです。
実は、この体内時計は25時間周期のため何もしなくても、ズレてしまいます。このズレをリセットしてくれるのが、寝起きの日光浴です。朝に光を浴びることで、約15時間前後に睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌が高まり自然な眠りを誘います。そのため、冬など日の出が遅い季節になると自然と就寝時間もズレこむため、寝つきが悪い人が増えてしまうのです。
対処法は、起床後に散歩や運動をするのが理想的です。
病気
寝つきが悪い代表的な病気は、不眠症(入眠障害)、むずむず脚症候群、うつ病の大きく3つです。
病気が原因の場合は、病気に合わせた治療法がありますので、睡眠障害に詳しい睡眠外来などを受診するのがおすすめです。「睡眠障害 + 地名」でお住まいの病院が検索できます。
首都圏を除く地方では、睡眠医療認定医・認定機関の数はまだまだ足りないのが現状です。その場合には、睡眠障害は精神科、心療内科、内科、神経内科、呼吸器内科、耳鼻咽喉科で受診できます。念の為、日本睡眠学会の睡眠医療認定医のリンクを貼っておきます。
原因もわからず安易に睡眠導入剤(睡眠薬)を服用するのは、一見お手軽に見えますが、根本的な対処法とは言えません。
長い目で効き目も減ってくること、薬への依存も考えると安易におすすめできません。あくまで最終手段(どうしても寝ないといけない時)でしょう。
寝つきが悪い時に飲む薬はマイスリーが1番有名
寝つきが悪い時に飲む薬と言えばマイスリーです。
マイスリーは、比較的安全性も高く、効き目も良いので不眠症の治療によく使われています。マイスリーは、脳の神経を鎮め、不安や緊張感を和らげリラックスさせる作用があるため自然に近い眠りを誘ってくれます。
基本的に正しく服用するかぎり、重い副作用はまずありません。ただ、人によっては、翌朝に眠気やふらつき、けん怠感や脱力感などが残ることがあります。高齢の人は、転倒にも注意してください。詳しくは、担当の医師または薬剤師におたずねください。
寝つきが悪い時に市販で買える薬
寝つきが悪い時に市販で買える薬は沢山ありますが、有名なのは、ドリエル(エスエス製薬)、スリーピン(薬王製薬)の2つでしょう。
全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどで気軽に買えます。勿論、ネットからも買うことが出来ます。どれも指定第2類医薬品です。
寝つきが悪い時に使えるサプリ
医薬品はちょっと怖い場合はサプリという手も。
サプリには即効性はありませんが、副作用の心配も少なく安心感があるのがメリットです。まず、寝つきが悪い時に摂取したい主な栄養素は3つです。トリプトファン(睡眠ホルモンの原料)とギャバ(リラックス効果)、ビタミンB群(自律神経の調整)です。
聞いたことない人がいるかもしれませんが、グリシン(体内時計の調整)もおすすめです。サプリは即効性を体感しに食い体質改善的な要素があるため、無理なく続けられる価格帯のものを選びましょう。
寝つきが悪い時に使える漢方
サプリは科学的なものだから怖い場合は、漢方に興味を持ってみませんか。
サプリと同じく、医薬品に比べ即効性はありませんが自然に寝つきが良くなります。実証(一般的な人)と虚証(虚弱体質)で処方される漢方が違いますが、実証に対しては三黄瀉心湯、黄連解毒湯、女神散で、虚証に対しては抑肝散や抑肝散加陳皮半夏、酸棗仁湯が寝つきが悪い時に服用する代表的な漢方です。
詳しくは、お近くの漢方薬局などで相談したり、調合してもらうのがおすすめです。
寝つきが悪い時の睡眠法「メトロノーム」
寝つきが悪い人たちに流行ってる睡眠法「メトロノーム」を紹介します。
とてもシンプルな方法で、1分間に20拍から30拍という非常にゆっくりとしたテンポでメトロノームを鳴らすことで、自然と眠りにつくことができるようになるという眠り方です。これは、ホワイトノイズ(脳の緊張を和らげ睡眠を誘う)の一種と言っても良く、実際に寝つきが悪い人が改善したという声は少なくありません。
メトロノームアプリは、iPhoneであれば Smart Metronome、Androidであれば Metronome Beats に人気が集まっています。そのまま眠れるように、15〜30分のタイマーをセットするのがおすすめ。個人差はありますが、無料で試せるので、寝つきが悪いと悩んでいるなら試す価値はあります。
寝つきが悪い状態が長続きする場合
寝つきが悪い状態が癖になっている人も少なくありません。
寝つきが悪い状態が慢性化している人は睡眠障害である不眠症の1つの入眠障害の可能性も考えられます。他にも寝つきに脚に違和感を感じるむずむず脚症候群という病気もあり、その場合には対策は異なります。
入眠障害に関してはこちらの記事で詳しく説明していますのでどぞ。↓
まとめ
寝つきが悪いまま放っておいてはいけません。
寝つきが悪いと睡眠時間が減ってしまう他に、入眠の悪さによる不安感が「眠らないといけない」というプレッシャー(緊張感)へと姿を変え、さらに寝つきが悪い状態が悪化してしまう悪循環へと突入する可能性させあります。
今すぐ寝つきたい人はこちらの記事からどぞ。↓
あとがき
一度、寝つきが悪い状態にハマると抜け出せません。
その場合には、気分をリセットするのも手。寝つきが悪いなら、いっそ布団の外に出て眠くなるまで読書をしたりなど深刻な心境に囚われ過ぎないよう心がけてみませんか。
おまけ;寝つきが悪いときの英語表現
寝つきが悪いときの英語表現は簡単です。
日常会話での英語表現でよく使われる、have trouble ~ing「〜するのに苦労してるんだよ」と言う表現をネイティブはしています。例文を紹介します。
I have trouble falling asleep(寝つきが悪いんだよね)
他には、insomnia(不眠症)を使うパターンもあります。I suffer from + 病名「〜に苦しんでいて(かかっている、患っている)」という表現もアリです。例文を紹介します。
I suffer from insomnia(不眠症で大変なんだよ)
これは、寝つきが悪いというよりもっとザックリした表現かもしれません。