うつ伏せで寝ると腰痛は悪化します。うつ伏せ寝は、枕を使うことでデメリットは軽減されますが、あくまで少数派である、うつ伏せで寝る人たちの心理の謎に迫ります。念の為、赤ちゃんがうつ伏せで寝るような場合は窒息や突然死の危険があるため絶対にNGです …
寝方の特集記事の目次はこちらからどぞ。↓
第5回 仰向けで寝るなら知らないと損!
第8回 仰臥位の全て【徹底解説】
第10回 横向き枕で失敗しない3つの選び方
第11回 横向きで寝るメリットとデメリットまとめ【徹底解説】
第15回 うつ伏せ枕で失敗しない選び方
第16回 うつぶせ寝は赤ちゃんと大人で違う?【正しいうつ伏せ寝】
うつ伏せで寝る人たちは少数派(8.2%)です。
一般的な寝方は約半数(43.9%)を占める仰向け寝です。日々の習慣で慣れ親しんだ寝方には十人十色ですが、少数派として未だ根強い支持がある寝方の真相に迫ります。うつ伏せで寝るには理由があった、今日はうつ伏せ寝の特集です。
目次はこちら
うつ伏せとは
うつ伏せとは胎児の寝方です。
うつ伏せで寝るという寝方は、胎児の寝方に近く、うつ伏せで寝ること自体に安心感を得ることが出来る寝方です。野生動物の本来の寝方(急所を守る)だとも言われ、まさに遺伝子に刻まれた究極のポーズ(姿勢)がうつ伏せで寝ることと言っても過言ではありません。
赤ちゃんが抱っこだと眠りやすいのも、単に人肌が恋しい訳ではなく、体の前面に急所が多いことから、その部分を隠してくれるため、安心感が高まり眠りに陥りやすくなります。
例えば、エステやマッサージなどで、仰向けよりもうつ伏せで寝ることが多いのも、施術によるリラックス効果よりもうつ伏せという寝方に安心感を感じリラックス効果が高まるようです。その証拠に、仰向け寝でもタオル1枚でもお腹にかけるだけで安心感を感じて眠りやすくなります。
このことから、寝方(仰向け寝、横向き寝、うつ伏せ寝)の中で最も安心できる寝方のため、眠りに落ちる早さ(入眠)は1番早いことがわかります。入眠障害などの不眠症を抱えている場合に推薦される寝方というのも納得できます。
また、うつ伏せ寝にはもう1つ、睡眠の質をワンランク上げてくれるメリットが隠されていますので、後ほど順番に説明します。
うつ伏せで寝る心理(性格)
うつ伏せで寝る人の心理や性格には傾向があります。
寝方には性格は表れるため、その人の心理がわかると言います。自分の性格や心理を掴むのも良いですが、パートナーがうつ伏せで寝るならば、チェックしておきましょう。
先ほども説明しましたが、うつ伏せで寝るというのは寝方の中でも、最も安心感を得られる寝方(胎児型・半胎児型)です。逆に言えば、安心感を得たい、必要としている人に多いのがうつ伏せで寝る寝方です。
うつ伏せで寝る人の特徴は、傷つきやすく、 他人のちょっとした言動にも ショックを受けて落ち込んだりします。例えば、恋愛面では構ってもらえないと不安になってしまう傾向もあります。うつ伏せで寝るのは、寝る時くらい安心したいという現れで、日中に強いストレスを受けている可能性があります。
うつ伏せで寝るのが習慣になっている人は、性格としても象徴されていることが多く、警戒心の強い一方で協調性を大切にする相反する性格ですが、言い方を変えればバランス感覚が取れているため周りに安心感を与えてくれる性格だとも言えます。
うつ伏せで寝るメリットとデメリット
うつ伏せで寝るメリットとデメリットを紹介します。
うつ伏せ寝で寝るメリットは、大きく2つで姿勢による絶対的な安心感が1つ目です。2つ目は呼吸量の確保です。もともと、うつ伏せで寝る寝方は、隔膜を運動させ腹式呼吸を促すことから、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療や寝たきりの人向けにバイタルや呼吸管理の視点から生まれた経緯があります。
睡眠中には舌や気道付近の筋力の脱力により、うつ伏せで寝る以外の寝方だといびきや無呼吸症候群(SAS)になる人も少なくありません。そのため、いびきやSAS予防として、うつ伏せで寝る人たちが増えています。うつ伏せで寝ると他の寝方(仰向け寝・横向き寝)より、呼吸量の確保ができるため、入眠の速さと睡眠の質を高めてくれます。
これらは、寝方を変えるだけで、簡単かつ即効性のある方法なので、慣れ親しんだ寝方を変える違和感がありつつも、実際に試してみる人も多いようです。一方で、うつ伏せ寝にはデメリットもあります。代表的なデメリットは、
- 不自然な首の骨になってしまう事による首こり・肩こり
- 顎関節への負担(頭の重さ)による顎関節症の危険性
- 顎や歯への負担(頭の重さ)による噛み合わせや歯並びの悪化
- 腎結石になりやすい(統計データで現段階では可能性のみ)
- クーパー靭帯への負担による胸の下垂・型崩れの可能性
- 顔面に枕などが密着するため肌荒れの可能性
などがあります。
うつ伏せ寝は、枕を使う事と正しいうつ伏せで寝ることでデメリットも少しは軽減できます。
うつ伏せで寝ると腰痛が悪化
間違った姿勢のまま、うつ伏せで寝ると腰痛を悪化させてしまいます。
間違ったうつ伏せ寝は、反り腰(腰が反った状態)となってしまい、腰への負担を集中させてしまいます。うつ伏せで寝ることが原因ではなく、人(腰痛の状態)によって最適な寝方が変わってきます。
例えば、腰から足にかけて痛みが伴う腰部脊柱管狭窄症の人は、うつ伏せ寝は腰が反った状態なるため悪化します。背筋が後ろに傾倒している反り腰の人は仰向けによって、腰が浮いて支えのない状態が続くため腰痛が悪化します。足腰に痛みや痺れを感じる腰椎椎間板ヘルニアの人は、横向きで寝ていると腰椎を十分に支えられず悪化してしまうなど、自分の腰痛の状態によって最適な寝方を選ぶことが大切なポイントになります。
うつ伏せで寝る正しい方法
正しいうつ伏せ寝は、前傾側臥位(ぜんけいそくがい)です。
妊婦の人に馴染みのある言い方をすればシムス位です。なので、うつ伏せ寝というより横向き寝というのが正しいうつ伏せ寝の寝方です。言葉通り、うつ伏せのまま寝てしまうと、うつ伏せで寝るデメリットを全て受けてしまいます。順を追って、うつ伏せで寝る正しい方法(手順)を紹介します。
- リラックスしやすいよう、左右どちらでも体が楽な方に横になります
- 体の下側になった足を伸ばします
- 上側になった足は、曲げて前に出します
- 体の下側になった手は、背中の方に回すか、頭の下に伸ばしてもどちらでも構いません
- 上側の手は力を抜いて前におきます
- 上側になった曲げた足の下に、クッションをおきます
- 上側の手の間にクッションをおきます
顔を左右どちらか向きやすい方に向けて、枕の端(枕なしの場合はバスタオルなど)に顔を乗せます。
顔を向けた側の手を曲げ、顔の前に置きます。すると、胸の下に空間ができるので、ここにクッションや丸めたバスタオルを入れます。枕は、胸の真ん中より顔を向いた側に寄せて入れましょう。顔を向いていない側の腕は、体に沿うように伸ばし、体はうつ伏せで寝る。うつ伏せで寝るポイントは、胸側のクッションの方が頭の枕より少しだけ高めにすることです。
うつ伏せで寝る時に正しい姿勢になると、頭からお尻にかけて綺麗なアーチができ、効率よく呼吸ができるようになります。
注意したいのは、うつ伏せで寝る時に、両足をまっすぐ伸ばした姿勢だと、腰や背中に余計な負担をかけてしまうことです。どちらかの膝を曲げて股関節を開いたほうが、背骨への負担は軽くできます。また、首が反り返るような姿勢になってしまうので、枕の高さには要注意です。
うつ伏せで寝るなら枕は必須
うつ伏せで寝るなら枕は必須です。
現時点で、うつ伏せで寝る時に使える万人向けの枕はニトリ一択かもしれません。その理由は、そもそもうつ伏せで寝る健康法(腹臥位療法)を広めたのが日野原重明 氏で、その日野原式枕は今は販売されていませんが、羽毛枕でした。
素材が羽毛だということには理由があります。羽毛枕の利点は、通気性と軽さ(コンパクトさ)を両立している点です。うつ伏せで寝るために作られた日野原式枕の特徴は、素材が羽毛だという他に、薄さ(さらにコンパクト)という点でした。
一般的に人は睡眠中に数十回もの寝返りを打ちます。うつ伏せで寝るためだけに作られた枕(クッションと一体型など)は、寝返りをした時にうつ伏せ以外の寝方に対応できない(邪魔になる)場合が多いのでおすすめできません。
ニトリの枕が、うつ伏せで寝る人たちに人気な理由は他にもあり、一般的な通販と違い全国に実店舗があるので実際に試した後に購入できるというのことも安心感があります。ちなみに、うつ伏せで寝る時に使えるニトリの枕は「ホテルスタイル枕 プレミアム」で、枕の必須機能である高さ調整ができるため、オーダー枕以外であれば万人向けです。
うつ伏せで寝る枕の選び方はこちらの記事で詳しく説明しています。↓
うつ伏せで寝ると赤ちゃんは危険
うつ伏せで寝ると赤ちゃんは危険です。
ほとんどの読者さんは、大人のうつ伏せで寝る情報を探しにきてこのページに辿り着いたと思いますが、啓蒙の意味でお伝えさせてください。
赤ちゃんは、うつ伏せで寝ると窒息と乳幼児突然死症候群(SIDS)の確率が高まります。実際に、窒素による死亡事故も少なくないため窒息は消費者庁から、SIDSは厚生労働省から警告が出ています。
窒息の死亡事故は、直近5年間のデータによると全国で毎月2〜3件、SIDSは毎月8件前後もあり、決して他人事ではありません。赤ちゃんが、うつ伏せで寝るのは1歳を過ぎてから(赤ちゃん自身が寝返りが出来るようになってから)ということを知っておいて損はありません。
うつ伏せで寝る赤ちゃんの危険性については、こちらの記事で詳しく説明しています。↓
うつ伏せで寝ると英語で表現すると
うつ伏せで寝ると英語で表現するのは、face down です。
医療関係など専門用語では伏臥位(ふくがい)と呼びますので直訳すると Prone、Prone position、Abdominal position と表現したりします。
日常会話では、lie down(横たわる、寝る)という表現の方が一般的です。例文として、Lying on your belly(うつ伏せで寝て)という表現も使ったりします。lie on の代わりに、get on と使ったりするのもOKです。(sleep on と表現するのを聞いたこともあります)
まとめ
うつ伏せで寝るには正しい姿勢があります。
前傾側臥位(シムス位)のことを知ると、うつ伏せで寝るとしても良いとこ取りができるようになります。体調が悪いな、少し違和感を感じる場合など、特に精神的な違和感を感じている場合に、うつ伏せで寝るとリフレッシュできると言われています。
勿論、日野原先生がうつ伏せで寝る健康法を提唱していただけに、肉体的なリフレッシュにもお墨付きです。
あとがき
うつ伏せで寝る人の心理や性格って面白いですよね。
うつ伏せで寝る人に限らず、実は寝方によって性格の傾向が分かれるようです。就寝時や睡眠中は、無意識に最もリラックスできる寝方を取りますから興味深いですよねっ