仰向け

寝方

仰向けで寝るなら知らないと損!

仰向けは腰痛持ちにはキツイ。仰向けとは、腰に負担をかけやすい寝方ですが良い面もあります。それは、病気(背中が痛い、咳)の早期発見がしやすいこと。仰向けで苦しいと感じる場合は要注意、仰向けにはいびきの可能性さえあります。おまけとして、仰向けの英語表現も紹介しています …


寝方の特集記事の目次はこちらからどぞ。↓

第1回 腰痛は寝方で決まる!【その理由とメカニズム】

第2回 仰向けで腰痛は悪化!【原因と対策まとめ】

第3回 仰向けで腹痛を感じる、放っておくと危険?

第4回 仰向けで寝るコツと方法【メリットとデメリット】

第5回 仰向けで寝るなら知らないと損!

第6回 仰臥位とは【素人でもわかる仰臥位の教科書】

第7回 仰臥位低血圧症候群は放っておくとダメ!【妊婦必見】

第8回 仰臥位の全て【徹底解説】

第9回 横向き寝、知らずに寝ると損をする?

第10回 横向き枕で失敗しない3つの選び方

第11回 横向きで寝るメリットとデメリットまとめ【徹底解説】

第12回 側臥位とは【素人でもわかる側臥位の教科書】

第13回 うつぶせ寝は赤ちゃんの窒息・突然死など危険あり!

第14回 うつぶせ寝で選びたい枕【メリットとデメリット】

第15回 うつ伏せ枕で失敗しない選び方

第16回 うつぶせ寝は赤ちゃんと大人で違う?【正しいうつ伏せ寝】

 

仰向けの総集編として、ふさわしい記事になりました。

少しボリュームが多かった気もしますが、仰向けで寝る時に必要なこと、知っておいて欲しいことをまとめました。仰向けは世の中で最も多い寝方です。きっと誰もが一度は仰向けで寝たことあるはずです。その仰向けの質をワンランク上げてくれるような情報をどぞ。

仰向けとは

仰向け

仰向けとは最も休息のできる姿勢です。

仰向けとは顔面を天に向け、上肢は体幹側で自然に伸展させ、下肢は左右に少し開いて自然に伸展させるか、膝の下に枕などを敷き少し屈曲させるのが一般的な仰向けです。

仰向けとは、重心が低く安定しているため、全身の筋肉は緊張が少なく、人体のエネルギーを効率よく節約できるため、最もリラックスできる寝方が仰向けだと言われています。人間が休息時、就寝時にとる自然な寝方が仰向けと言っても過言ではありません。

しかし、仰向けとはリラックスができる反面、自然界では最も危険を伴う寝方なので外敵のない人間だけに許されない寝方が最も贅沢な休息方法が仰向けで寝ることだと言えるかもしれません。一部、動物園や家庭など限定条件下では異なり、実は猫や犬などが自宅で仰向けを見せる場面は多くの場合が相手を信頼しているというアピールなのだったりします。

また、仰向けとは頭部・体幹・四肢の各部が心臓とほぼ同じ高さになるため、全身の体循環、殊に腹部内臓の血流量が上昇しやすく仰向け以外の寝方よりも心臓の負担は上がるようです。

仰向けのことを解剖学や人間工学では、仰臥位(ぎょうがい)や背臥位(はいがい)とも呼んでいます。

仰向けは英語でどう表現する?

仰向け

  • face up(仰向け)

日常会話での英語表現で最も多いのがこの使い方です。

lie down(横たわる、寝る)という表現とセットで使うことが一般的なようです。Lying on your back(仰向けで)という表現も使ったりします。lie on の代わりに、get on と使ったりするのもOKです。(sleep on と表現するのを聞いたこともあります)back というのはここでは「後ろ」ではなく「背中」という意味で使っています。

他には、

  • Supine(仰向け)
  • Prone(仰向け)

医療関係の翻訳などではこちらで表現する場合もあるようです。

 

仰向けで寝れない場合

仰向けで寝れない場合には前回の記事でも説明しましたが、無理に仰向けで寝ようとすると睡眠の質が一気に下がってしまいます。

特に、強制的に仰向けで寝ようとする工夫はアウト。しかし、一部の人たちには病気などが原因で仰向けでどうしても寝ないといけない場合もあります。

そういう場合におすすめしているのは、仰向けの寝心地を上げてやること。横向きなど、他の寝方よりも自然に仰向けで寝れるようにするコツは枕とマットレスにあります。枕は適正な高さ、そしてマットレスは背中との隙間を排除すること。

しばらく、仰向けで寝る必要がある人はオーダー枕とトッパーなどの寝具を新調することで仰向けで寝れない人でも寝れるようになります。詳しくは、前回の記事で説明しています。↓

仰向けが苦しい?

仰向け

仰向けが苦しい理由は大きく3つです。

「仰向けはなんだか苦しいんだよね」という声は意外と少なくありません。まず、1つ目の原因として、心臓の負担増加です。仰向けだと下肢も頭も心臓と同じ高さになって、血液が心臓に戻りやすくなり、心臓の負担が増えるためと考えられています。

2つ目は、脳や体のメカニズムです。仰向けだと気分が落ち着きますが、脳の中では交感神経緊張が弱まり、迷走神経緊張が高まるため、中枢神経系がリラックスします。実は、このような状態(中枢神経系のサポートが必要な状態)では、苦しくなってしまうのです。

3つ目として、仰向けだと舌の付け根(舌根)などが上気道に落ち込みやすくなります。レム睡眠中は筋肉が弛緩するため、ただでさえ苦しい状態になるのです。

気道が閉塞してくると狭い隙間を空気が通ろうとするので、音、ようは「いびき」が発生する原因にさえなってしまいます。ひどい場合には、気道が完全に塞がれてしまい、空気が通る隙間がなくなるため、無呼吸症候群になってしまう人も少なくありません。↓

仰向けは腰に負担がかかる?

仰向け

仰向けで寝るという寝方は、思ったよりも腰を伸ばしている状態で腰に負担をかけやすいとも言われています。

特に、枕の高さが適正でない、マットレスの体圧分散性能が悪いなどが主な原因です。自然な寝姿勢を保つためには、マットレスだけでなく、枕の高さや硬さも重要になってきます。たとえば柔らかいマットレスの場合、頭より胴体の沈み込みが大きくなるので低めの枕を選ぶなど、マットレスと枕の組み合わせを考えて選ぶことも重要です。

柔らかすぎるマットレスを選ぶと、お尻など重い部分が沈み込んで腰痛につながることがあります。一方、硬すぎるマットレスを選ぶと、肩やお尻など凸部分だけで身体を支えることになり、寝ているうちに腰に負担がかかり、痛くなることがあります。

仰向けに寝ると腰が痛い

仰向け

仰向けに寝ると腰が痛いのはなぜか。

腰の周囲には内臓が多く、仰向けで寝ると体重が腰周囲の筋肉や骨などに掛かります。仰向けで寝ているときはなんと、体重の40%から50%弱の重さが腰への負担になるとも言われています。

仰向けに寝ると腰に負担が掛かることで、腰周囲の血管が圧迫されます。そうなると痛みを伝える神経伝達物質が生じ、睡眠中の腰の痛みを発生させます。通常であれば、寝返りなどを打ちますから、体重の負担は分散されるため寝ていても腰の痛みはそこまで大きくなりません。

しかし、女性や高齢者など筋力不足の状態では、仰向けに寝ると寝返りが十分に打てないため、体重の負担が腰ばかりに集中してしまい、睡眠時に腰が痛いとなってしまうのです。

仰向けに寝ると背中が痛い

仰向け

仰向けに寝ると背中が痛いと感じる場合、体圧などによる血行不良により背中が痛いと感じるだけが原因ではありません。

背中が痛いと感じる時には病気の可能性も否定できません。多くは筋肉に由来した痛みであることが多いのですが、仰向けで寝ていても痛い場合、痛みが全然よくならない場合、特に心配な病気は圧迫骨折です。

骨折というと、腰のイメージがあるかと思いますが、実は背中の骨も折れやすいと言われています。特に下位胸椎と呼ばれる下の方の骨は腰骨よりも折れやすいとさえ言われています。

他に稀な病気ではありますが、脊髄腫瘍や脊髄硬膜動静脈瘻などの可能性もあります。こういったご病気は検査しないと分かりません。背中の痛みに関して詳しくは、こちらの記事でも説明しています。↓

仰向けだと咳が出る?

仰向け

仰向けだと咳が出るのは病気の可能性があります。

後鼻漏(こうびろう)という病気で、仰向けに寝ると、垂れ込んだ後鼻漏が刺激となり咳や痰を引き起こします。後鼻漏とは、鼻汁が口腔や咽頭、喉頭へ流れ落ちてしまい、「鼻腔の後方に何かあるのだが、鼻をかんでも、痰を出そうとしても除去できない」といった症状を感じます。

後鼻漏は、特に高齢者となると根治的治療が困難な場合が多く、悪化することで誤嚥の危険性も高くなることから、定期的な経過観察、治療が必要になります。

鼻からのどにかけての違和感や夜間の咳などがありましたら、内科と同時に耳鼻咽喉科への受診がおすすめです。

まとめ

仰向けの全貌をお届けしました。

仰向けは最も休息できる寝方という一方で、知らぬ間に腰への負担をかけてしまっている場合もあります。また、仰向けはリラックスが出来るため、病気など違和感を感じやすく早期発見しやすい休み方だ、とも呼ばれているの知っていましたか。

次の寝方シリーズはこちらからどぞ。↓

あとがき

日によって寝方が変わる。

これ、私の場合ですが特に寝方を意識して寝ることは少ないのですが、思い返してみると日によって仰向けだ、横向きだ、自然に寝やすい寝方が決まるのです。これ、やっぱり体調とかその日のバランスなのでしょうか。

寝方シリーズの最終回までには、その真相を掴みたいものです。

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