腹痛が悪化すると仰向けで寝るのさえしんどくなってしまいます。仰向けで腹痛(痛み)を感じること自体すでに腹痛としてかなり悪化している場合があります。みぞおち、下腹部などに痛みがないか、下痢を伴っていないかなどチェックポイントは様々 …
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第5回 仰向けで寝るなら知らないと損!
第8回 仰臥位の全て【徹底解説】
第10回 横向き枕で失敗しない3つの選び方
第11回 横向きで寝るメリットとデメリットまとめ【徹底解説】
第15回 うつ伏せ枕で失敗しない選び方
第16回 うつぶせ寝は赤ちゃんと大人で違う?【正しいうつ伏せ寝】
腹痛で仰向けになれないという声もあります。
腹痛を感じる場合、仰向けで横になるのはしんどい人が多いのを知っていましたか?
腹痛の応急処置でも体を丸めることを推薦しています。実は仰向けで寝る、仰向けで横になるのは腹痛の痛みが治ってからの方が良かったりします。腹痛には思ったより種類も多く、危険なサインを見逃さないよう調べてみましょう。
お腹を壊したでは済まない腹痛もあるので要チェックです。
目次はこちら
仰向けとは
仰向けは最もエネルギー効率の良い姿勢です。
仰向けとは顔面を天に向け、上肢は体幹側で自然に伸展させ、下肢は左右に少し開いて自然に伸展させるか、膝の下に枕などを敷き少し屈曲させるのが一般的な仰向けです。
重心が低く安定しているため、全身の筋肉は緊張が少なく、人体のエネルギーを効率よく節約できるため、最もリラックスできる寝方が仰向けだと言われています。人間が休息時、就寝時にとる自然な寝方が仰向けと言っても過言ではありません。
一方で、仰向けは頭部・体幹・四肢の各部が心臓とほぼ同じ高さになるため、全身の体循環、殊に腹部内臓の血流量が上昇しやすく他の寝方よりも心臓の負担は上がるようです。
仰向けのことを解剖学や人間工学では、仰臥位(ぎょうがい)や背臥位(はいがい)とも呼んでいます。
腹痛とは
腹痛は一般的に腹痛症とも呼ばれます。
腹部に感じる痛みとして自覚される症状です。腹痛を発生させる要因も様々なものがあり、体内で発生した何らかの異常を知らせる情報がまず痛みとして自覚され、異常に対する一種の防御反応として腹痛を感じるようになります。
仰向けで感じる腹痛(痛み)の大小によっては、副次的に生理的・心理的影響を及ぼす可能性が高くなるため、できるだけ早い段階で要因を突き止め、受診する必要があります。
腹痛には種類がある
腹痛は救急外来で最も多い症状だと言われています。
高齢者になると、重い病気でも症状が乏しいことがあります。歩くと響く痛みや、押すと痛みが増すといった症状の現れ方や、時間とともに症状が悪化するかどうかが、診断のポイントになります。発熱や激しい痛みが現れたり、腹膜刺激症状があれば、手術が必要となる急性腹症の可能性もだってあるんです。
仰向けで横になった時に痛みを感じるポイントによってわかる腹痛の可能性を紹介します。
仰向けで上腹部(みぞおち)が痛む場合
- 胃炎
食後に不快感やもたれ感、吐き気、食欲不振、倦怠感等の症状も見られる
- 胃潰瘍
食後20~30分、吐血、下血、胸やけ、げっぷ等の症状も見られる
- 胃がん
進行すると痛みが激しくなる、胸やけ、げっぷ、食欲不振、嘔吐(吐血)、血便、腹水等の症状も見られる
- 急性膵炎
突然起こる、あおむけに寝ると痛みが強くなる、左背・左肩・左手まで痛みが広がる、吐き気・嘔吐等の症状も見られる
- 虫垂炎(初期)
時間とともに強くなる、吐き気・嘔吐等の症状も見られる
仰向けで下腹部が痛む場合
- 膀胱炎
重苦しい痛み、頻尿、排尿痛、血尿、残尿感等の症状も見られる。
- 子宮内膜症・子宮筋腫
月経痛、便秘等の症状も見られる
仰向けで右上腹部が痛む場合
- 胆石症
過食(特に脂肪の多いもの)後2~4時間、激痛、右背・右肩・右腕まで痛みが広がる、吐き気・嘔吐・黄疸等の症状も見られる
- 胆嚢炎
重症の場合は激痛、発熱、黄疸等の症状も見られる
仰向けで右下腹部が痛む場合
- 虫垂炎
時間とともに強くなる、体を動かすと痛みがひどくなる、発熱、下痢、便秘、食欲不振、吐き気、嘔吐等の症状も見られる
- 卵管炎・卵巣炎
激痛、発熱、悪寒、嘔吐等の症状も見られる
仰向けで左上腹部が痛む場合
- 慢性膵炎
ときどき痛むこともあれば、鈍痛が続くこともある
- 膵臓がん
あおむけに寝ると痛みが強くなり、膝をかかえる姿勢をするとやわらぐ、体重減少、黄疸、食欲不振、倦怠感、吐き気、嘔吐、下痢、便秘等の症状も見られる
仰向けで左下腹部が痛む場合
- 潰瘍性大腸炎
激しい痛み、血便、下痢、発熱、頻脈、倦怠感等の症状も見られる。
仰向けで腹部全体が痛む場合
- 腹膜炎
激しい痛み、腹部がかたくなり、手で押すと強く痛む、嘔吐、冷や汗、チアノーゼ、意識混濁等の症状も見られる
- 腸閉塞
激しい痛み、吐き気、嘔吐、便・尿量の減少、発熱、頻脈、意識障害等の症状も見られる
腹痛を感じ下痢になると
腹痛に伴い熱と下痢がある場合には感染性胃腸炎が考えられ、仰向けで横になるのは避けたいところです。
腹痛後の下痢は病原微生物が原因の場合が多く、まずは病原体を身体の外に出す必要があり、液体をたくさん飲む方法が効果的です。水分をたっぷり横になれば(仰向けNG)、腹痛後の下痢に注意したい脱水症状も避けられます。
水よりも少量の砂糖か塩を含む液体は、身体から失われたブドウ糖とミネラルの補充になるので効果的です。例えば、ポカリスウェットは飲む点滴とも言われるほどなのでおすすめです。腹痛が楽になれば、仰向けで横になりリラックスさせてあげましょう。
腹痛の応急処置とその後の流れ
- 衣服やベルトをゆるめ、布団に横になる(仰向けNG)など楽な姿勢に。ひざを曲げると痛みがやわらぐ場合もあり
- 座布団などの上にひざを乗せるか、体を横向けにしてエビのようにひざを曲げる
- 吐き気を伴うときは、枕もとに洗面器などを用意。吐いている最中は吐物で窒息しないよう体を横向け
- 下痢を伴うときは、毛布、腹巻きなどで腹部を保温する
仰向けで寝ている時など急な腹痛を感じたら急性腹症の可能性もあり、その場合には医療機関への搬送後、即手術となることも多いので、応急処置では水分や常備薬をむやみにとらせないよう注意するケースも少なくありません。
単に生理的な腹痛ならそれほど問題はありません。しかし、腹がかたいとか、歩いていてもひびくとか、痛みが何時間も続く時は我慢をせず、すぐ病院で診てもらいましょう。
最も一般的な触診として、お腹をさわって、お腹がかたいかやわらかいかを調べます。いつごろ痛み出したか?どのように痛むのか?なども問診も行います。中には腹膜炎(ふくまくえん)や膵炎(すいえん)などの重症な病気が見つかることもあるので、少しでもそうした病気の疑いがあれば、尿検査や血液検査、CT検査、腹部超音波検査、レントゲン検査などを早めに受診をおすすめします。
まとめ
仰向けで腹痛を感じると要注意です。
腹痛は思ったよりも複雑で自分で判断できるポイントはそう多くありません。少しでも不安を感じる場合には悩むより病院で受診をした方が手っ取り早いかもしれません。
病院に行く手間は正直、面倒ですが万が一ということがあるのが腹痛だということを忘れないようにしましょう。
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あとがき
腹痛はだいたい急にやってきます。
私の場合は、そもそも兆候はありませんでした。そんな時に限って仰向けになると痛みがひどくなる、というか横向き?体を丸めた方が痛みが落ち着くんです。誰に教えて貰った訳ではありませんが、本能的に仰向けから身を屈めていました。